「両部鳥居(りょうぶとりい)」
厳島神社は、広島県廿日市市の厳島(宮島)にあり、1400年の歴史をもつ日本全国に約500社ある厳島神社の総本社である。社殿のある三笠浜(みかさのはま)を囲むように突出した東の宮崎と西の西崎との間に、本社火焼前(ひたさき)より八十八間の沖合に高さ16㍍の朱の大鳥居が建つ。この色は光明丹(こうみょうたん)という顔料の一種の酸化鉛で、鉛ガラスの原料や陶磁器の釉などのほか多く錆止めなどに使われる。屋根は桧皮葺(ひわだぶき)、光明丹で錆(さび)どめを施されたこの両部鳥居は、本体の鳥居の柱を支える形で稚児柱(稚児鳥居)があり、その笠木の上に屋根がある鳥居。名称にある両部とは密教の金胎両部(金剛・胎蔵)をいい、神仏習合を示す名残。四脚鳥居(よつあしとりい)、稚児柱鳥居、権現鳥居、枠指鳥居などの別名がある。
大願寺の記録によれば、西暦1286年11月19日再建、北朝1371年5月再建、1547年大内義隆再建、1562年1月13日毛利元就・隆元再建(大願寺文書121号より永禄4年11月28日と日付類推)、元文四年九月五日落成、享和元年四月二十五日落成、明治八年七月十七日上梁と七回再建されている。巷間、平安末期以来、明治八年の建立で八代と云われている。
昨年9月、廿日市市役所ホールに宮島工業高校製作の大鳥居の模型が展示されていた。脚柱部の地中に数百本の木杭が打ち込まれていると子供時分に聞いた記憶のイメージ通り、その様子が模型で再現されていた。大鳥居は地中に木杭で基礎を固めているが、基礎の上に乗っかっているだけで、笠木の下の島木を箱型にし、中に小石を数トン入れて、鳥居の自重で倒壊しない工夫がされている。
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